息子の吃音

19歳になる長男は現在、東京大学受験に向けて勉強中の浪人生です。
実は彼、小さい頃かなりひどい吃音がありました。

2歳の時に弟が生まれ、ほどなくしてどもり始めました。
4~5歳ごろが一番ひどかったと記憶しています。

お友達と公園で遊んでいるとき

「お、お、お、おかあさん、
く、く、く、くらく なーってき、きたから
か、か、か、か、かえろう」

周りのお母さんたちも、なんとなく気まずい顔をしています。

でも私は顔色一つ変えず「はーい、帰ろうねー」と笑顔。
絶対にせかさない。指摘しない。何ごともなかったかのような表情で言葉を待つ。
それを徹底していました。

そのかいあって、本人は19歳の今日まで自分に吃音があったことを知りませんでした。

そう、吃音が全く残っていないのです。

吃音だった 息子の子供のころは

幸い、彼は人前でべらべらしゃべるほうではなく、どちらかといえば物静か。
幼稚園の友達も吃音には反応していませんでした。

小学校低学年の時、低学年のうちに吃音が治らない場合は
ほとんどの人がそのまま大人になると医師に言われ、覚悟を決めました。

そろそろいじめの対象になるかもしれない。
人と接する対面の仕事は難しいかもしれないから、職業選択の幅が狭くなるだろう。
結婚相手は見つかるだろうか…

自分を責めて、何度も何度も彼の寝顔に謝りました。
しばらくして考えても仕方がないと割り切れるようになり
「ま、しゃあない。どうにかなるさ」と考えないようにしていました。

吃音が変わり始めた兆し

小学校時代、毎日音読の宿題が出ました。
彼は、とても、というか異常に(日本語的には間違っていますがあえて)音読が上手でした。
あまりにスラスラ読むので、私もうれしくて毎日毎日、何度も読んでもらいました。
本当は1回でいいのに、母がもう一回とせがむから、何度も。

そうしているうちに、彼は教科書を見ずにそらで読むようになりました。
丸暗記してしまうのです。
だんだん学年が上がると、ページ数が増えていきますが、
長編の物語も平気で丸暗記してしまいます。

全く引っかかることなくスラスラ読んでいるうちに、
気が付いたら吃音がなくなっていました。

いつからなくなったのかはわかりません。
自然に、音読をするようにしゃべれるようになったのです。

現在の息子は

息子から幼少期に大変だったことを聞かれ、良い機会だと思い
吃音について話してあげました。
とても驚いていましたが、感謝してくれました。

息子は幸い残っていませんが、覚悟決めた時のことを今でもはっきりと覚えています。
障害を持って生まれてくることの意味を少しだけ感じることができたこと、
母のせいではなかったと知ったこと(吃音は環境が原因ではないのです)、
訓練すれば治ることもあるということ(母も本人も訓練だと思っていなかったけれど)、
治らかったとしても受け入れようと思えたこと、
きっとそんな息子の全部を好きになってくれる女性が現れるはず…

彼は、母にたくさんのことを教えてくれました。
今でも教えてくれています。

吃音の子どもは、感受性が豊かです。
ほかの子にはない感性を別の分野で発揮することもあります。
私の小学校時代の恩師は、吃音がありました。地元で活躍されている尊敬する書家です。

居心地の良い場所、安心できる環境、心の通う友人を見つけられたらいいな…
私がつけていた当時の日記にそう書き記しています。


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